コロナ禍三年目、しかも感染急増の渦中で宗会シーズンが幕を開けようとしている。末寺の疲弊や住職・寺族・檀信徒・一般参拝者の不安の声を、どれだけ議場に集めることができるか。昨年来、通常の予算審議等に加え、宗団存続の危機感を土台にした末寺支援策の審議が極めて重要になっている。 未曾有の危機の時代、末寺の宗派帰属意識は各選挙区の民意を背負う宗会議員各師が担っていると言っても過言ではない。コロナ禍で葬儀や...
コロナ禍三年目の新年を迎えた。国内の感染状況は概ね収まっているものの、海外では新種のオミクロン株が流行し始めている。世界が一つに繋がったグローバル化の現代、他国の災禍も自国の苦難として、乗り越えていこうとする姿勢が大切である。その観点から、御修法の意義について考えたい。 密教弘通を成し遂げられ、ご入定の時期を覚られた宗祖は、その直前となる承和二年(八三五)正月、後七日御修法を毎年恒例の法要とする...
ワクチンの普及等で漸く新型コロナウイルス感染者の減少が続くが、次の流行の前段階なのか、収束への兆しなのか、気が抜けない状況が続ている。 今世界はグローバル化によって一つに繋がっており、運命共同体であること、他国で起こった苦難も決して無関係ではなく、忽ちに我々の苦難となる新型コロナウイルス出現は、世界規模の「天下大疫」である事実をまざまざ と見せつけられ、仏教界でも今まで経験したことがない事態に...
コロナ禍も未だ終息を迎えることもなく、併せて、その影響で寺院運営に困窮する寺院も多い。各宗派とも昨年来、その対策に追われており、高野宗では、本年に続き令和四年度も宗費の二割を減額することになった。 前号既報の如く今川高野宗宗務総長は、秋季宗会に於いて、財務調査に関しては「前内局の方針に則り、コロナ禍終息後に本調査を再開し指数を決定する」方針を出し、前内局時に末寺から三年に亘り提出してもらった収支...
本宗各派は、それぞれの時代の要請に応じ人材育成という社会的責任を果たしてきた。では現代社会における宗団の教育面で果たすべき役割とは何か。 智山派教学振興会はこのほど、奨学金貸与事業を行う独立行政法人日本学生支援機構発行の債券「ソーシャルボンド」に投資し、公益性の高い資産運用という手法で、広く一般学生を支援するという新しい取組みを始めた。 仁和寺では、高校生以下の拝観料を次世代への文化支援として...
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。変異した「デルタ株」の感染力は桁違いの強さとされ、国内の感染者の九割以上を占めるとされている。 新規感染者や重症者が連日過去最多を更新し、医療逼迫(崩壊)や自宅療養者の急増という非常事態が繰り返し報道されても、人々がコロナ禍に慣れていく速度を大幅に緩めるには至っていないように思える。繰り返された緊急事態宣言の効果も薄れ、ワクチン接種を巡る混乱もそれに拍車...
敗戦から七十六年目の八月を迎えた。あの悲惨な戦争の記憶を受継ぎ、非戦と平和の護持を誓う営みは、全ての仏教者、宗教者が共有する祈りである。 本号には高野山真言宗が六月一日付で発表した初の宗派声明「核兵器禁止条約の成立と発効を歓迎する」の全文を掲載した。宗内外に訴えた声明は、国際社会の核兵器廃絶への取り組みに賛同の意を表明し、唯一の被爆国である日本が「核兵器禁止条約」に参加することを強く求める内容で...
令和二年七月の九州豪雨災害から一周年を迎えた。去る七月四日、球磨川の氾濫により、関連死含め二十一名が犠牲となった熊本県人吉市内でも、慰霊と復興に向けての様々な行事が行われた。 伽藍全体が水没するという甚大な被害からの復興に取り組んでいる大覚寺派高野寺住職味岡戒孝師が導師を勤めた下青井町地区、高野宗青年教師会の災害救援ボランティア基地となった熊本宗務支所下南光院、超宗派の熊本県仏教会主催の浄土真宗...
三師が立候補した注目の金剛峯寺執行長(高野山真言宗宗務総長)選挙は、去る六月九日開票が行われ、前宗会議員の今川泰伸師が当選した。 平成十五年に宗務総長の一宗公選制を導入してから、今回初めて候補者が複数となったために全末寺投票も初めての実施となった。宗務行政の最高責任者たる宗務総長を有権者(全正住職約二千五百人)の民意で選ぶ過程で、宗団の課題となっていた宗政への無関心を払拭し、宗団への参画意識を高...
高野山真言宗第百六十八次臨時宗会での宗会議員による投票で次期金剛峯寺執行長(高野山真言宗宗務総長)候補者に安藤尊仁、岡部観栄、今川泰伸の三師(年令順)が決定した。安藤師は宗会議員を四期務め、内三期は宗会議長、岡部師は元高野山高校校長で前財務部長、今川師は宗議を四期務めており、どの候補者もいずれ劣らぬ宗政のベテランである。 高野宗では、平成十五年三月の第百二十次春季宗会に於いて、宗規を改正し、宗会...