新たな宗団形成と財務調査

投稿日:2021年10月25日

コロナ禍も未だ終息を迎えることもなく、併せて、その影響で寺院運営に困窮する寺院も多い。各宗派とも昨年来、その対策に追われており、高野宗では、本年に続き令和四年度も宗費の二割を減額することになった。
前号既報の如く今川高野宗宗務総長は、秋季宗会に於いて、財務調査に関しては「前内局の方針に則り、コロナ禍終息後に本調査を再開し指数を決定する」方針を出し、前内局時に末寺から三年に亘り提出してもらった収支計
算書を重要視する方針を示した。
本年四月に各末寺宛てに公表された「財務調査諮問委員会の経緯と今後について」によれば、支所別平均収入と平均指数が公表されるなど、かなり細かい点なども報告されている。このような細かい分析とデーターの集積をも
とに、財務調査の本調査が実施される運びとなっている。
また御室派後期定期宗会では、来春任期満了を迎える吉田御室派宗務総長が、宗費検討委員会から、宗派の収支の均衡化や「宗費諸表」設定と手数料の見直し、収入調査を行い、宗費賦課個数を決定し、宗規に五年ごとの収入
調査を明記することなど、宗派の財務構造を見直す答申が出ていることを報告し、今後検討していくことを表明した。
宗派は歴史的な経緯や信仰をもとに形成され、それを護持する経済的基盤の一つが宗費である。
宗費を納めることにより、宗派への帰属意識や参画意識の高揚が重要であり、その過程に於いて、宗費の総額や宗団の運営規模の適正化を宗団全体の議論とすることが、問われているのではないか。