「比叡山宗教サミット三十五周年記念・世界宗教者平和の祈りの集い」が八月四日、「気候変動と宗教者の責務」をテーマに開催、採択された「比叡山メッセージ二〇二二」では、ロシアに対して、ウクライナからの即時撤退を強く求めると共に、「戦争は人間による最大の環境破壊の行動であることを心に刻むべきである」と訴え、比叡山上から世界に向けて発信した。 戦争も環境破壊もいのちを損なう行為である。人間だけでなく全ての...
ロシアのウクライナ侵攻から約六か月、ウクライナの肥沃な国土を焦土と化す侵略戦争が続いている。穀物の輸出が阻止され、世界の食料危機が現実となっている。グローバル化した世界の脅威は、国民を巻き込む戦争である。 本、八月十五日、七十七年目の終戦記念日を迎えた。この凄惨な敗戦で失われた幾百万の尊い命と引き換えに、わが国は、戦争放棄と非核三原則からなる平和国家となった。今日は戦争への、深い反省と平和の維持...
安倍元首相が演説中に銃撃され死亡した。当初「民主主義に挑戦する凶行」と非難する声が異口同音に上げられていたが、宗教者の立場からこの事件の衝撃を受け止める時、狂信的な信仰による献金で破産した母親と、それによって被った容疑者の悲惨な家庭生育環境(宗教被害)に戦慄せざるを得ない。 容疑者の母は宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者であることが明らかになった。旧統一教会は信者の家庭を壊すほど...
宗祖弘法大師御生誕千二百五十年、真言宗立教開宗千二百年の大法会が愈々来年に迫ってきた。今、この時に何を祈るべきか。 世界のコロナ禍の終息はいつになるのか。ロシア軍による隣国ウクライナへの軍事侵攻は、力による現状変更への野心を持つ為政者に独善的な思想的根拠を与えはしないか。地球温暖化は加速度的に進んでいる。人類が前世紀に克服したかに思われた疫病の世界的蔓延と世界戦争、かつてない規模の自然環境破壊と...
人口減少や限界集落の増加、また人々の生活様式の変化により、従来の伝統的な宗教行事のみでの寺院の護持は困難になってきていたが、この二年間に亘るコロナ禍がそれを更に加速させている。 寺院運営基盤確保の一助として、これまでにも密教や仏教の理念の下、またその実践の場としての社会福祉事業を行なってきた寺院も多いが、今ではこれまで以上に新しい形での運営体制や新たな活動を行うことで、寺院運営を支えることが必要...
ロシアによるウクライナへの武力侵攻以降、日本仏教各宗派でも非難声明を出し、平和への祈りと共に救援募金等の人道支援を行っている。その背景に釈尊の不殺生戒や宗祖の曼荼羅思想が据えられている。今、それらを結集して、平和を護るための戦争否定の教学を打ち立てるべきではないか。 ロシアによる武力侵攻により、危機感を持った北欧ニカ国がNATO加盟を表明。我が国周辺でも中国や北朝鮮の脅威が以前にも増して叫ばれ、...
ロシア軍のウクライナ各都市への攻撃が激しさを増し、犠牲者は増加の一途をたどっている。生物化学兵器などの大量破壊兵器の使用まで現実味を帯びてきている。国際社会には一刻の猶予もない。この間、北朝鮮は最新型大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功し、米国全土をも射程に収めたと喧伝されている。世界は今、軍事力を背景にして自国に有利なように国益剥き出しで交渉し、要求が通らなければ軍事侵攻を決行するという一世紀前の...
ロシア軍によるウクライナへの武力侵攻が去る二月二十四日に開始された。攻撃は激化し多くの民間人が犠牲となり、更に多数の国民が避難を余儀なくされている。その危機の中で、全日本仏教会や本宗各派も武力侵攻に抗議する声明を出し、檀信徒や広く社会に平和の祈りを通じての強い連帯を求めた。 弘法大師が帰朝前に師恵果和尚から授かった言葉である「蒼生の福を増せ」は、宗祖のご生涯を貫き「全てのいのちを幸せにする」活動...
真言宗千二百年の歴史を幡く時、苦難の時代の中で宗団の未来を切り開いていった先徳の姿が次々と脳裏に浮かぶ。伝統教団の一つである本宗は、長い歴史の中で様々な宗教的営為を蓄積し、そこから紡がれた普遍の真理を各時代に合うように再創造してきた。コロナ禍が続く現在はどうだろうか。 智山伝法院は二月八日、特別講習会「弘法大師教学の展開-激論 新義教学四古義教学-」を開催し、気鋭の研究者である四師が法身説法につ...
コロナ禍の中で、宗会シーズンが開幕した。近年、無住寺院や不活動法人の解散について質疑が交わされることが多くなってきた。 臨済宗妙心寺派の無住寺院対策委員会では、このほど二ヵ寺に対して寺院解散補助金(合計三〇〇万円)を給付する答申を示した。今後、給付が必要となる寺院の増加や堂宇の解体費用等の諸経費の高騰が予想されることから、給付金年間予算三〇〇万円の増額要求を答申に盛り込んでいる。 末寺寺院の繁...