危機感の共有と宗派への帰属意識

投稿日:2022年02月05日

コロナ禍三年目、しかも感染急増の渦中で宗会シーズンが幕を開けようとしている。末寺の疲弊や住職・寺族・檀信徒・一般参拝者の不安の声を、どれだけ議場に集めることができるか。昨年来、通常の予算審議等に加え、宗団存続の危機感を土台にした末寺支援策の審議が極めて重要になっている。
未曾有の危機の時代、末寺の宗派帰属意識は各選挙区の民意を背負う宗会議員各師が担っていると言っても過言ではない。コロナ禍で葬儀や法事の簡素化が一層加速しているが、人々の供養心は逆に上がっているのではないか。檀家制度の崩壊が指摘されて久しいが、コロナ不安の中で檀家制度は檀信徒の安心に寄与しているのではないか。コロナによる病苦や経済苦に社会が喘ぐ一方で、今まで見えなかった新たな時代の光明がかすかに差してきてはいないか。根拠のない楽観論ではなく、社会の人々の救済と危機感に立脚しつつも、その中に希望を見出す議論が宗会に求められているのではないか。
そして宗会で交わされた実りある議論は、議員各師によって地元に持ち帰られ、さらに各選挙区で集合知としてブラッシュアップされ、次の宗会では再び民意として議場に届けられる。こうした好循環が末寺の宗派への帰属意識を高めることに繋がるのではないか。自身の声が宗会の議論に反映されるということほど、宗政への参画意識を高める契機はないからである。
コロナ禍もいっかは終わる。この苦難を宗団としてどのように過ごし、どう克服するか。末寺の声にどう答え、宗団としての一体感を高めるか。次の時代の宗派の形はそれによって決まるのではないか。その意味で、今次宗会がその鍵を握っていると言ってよい。各派議場での活発な論議に期待したい。