京都・清水寺で発表される「今年の漢字」。令和四年を象徴する一字に「戦」が選ばれた。多くの人がロシアのウクライナへの軍事侵攻を憂い応募したことは間違いない。戦争を身近に感じた一年だったことに不安を覚えた。 令和五年は宗祖御誕生千二百五十年・真言宗立教開宗千二百年の両勝縁を迎える。宗祖の幼少時の呼び名である「貴物(とうともの)」は真魚少年が単に優れていたからというだけの意味ではなく、後に密教の救いを...
高野山真言宗青年教師会では、去る十一月三十日に「弘法大師潅頂開壇千二百年記念事業~東大寺と密教~」を奈良華厳宗大本山東大寺で執行した。 弘法大師は帰朝後、弘仁十三年(八二二)に、東大寺内に潅頂道場(真言院)を建立、当時国家仏教の中心地であった東大寺にいち早く密教を導入されており、平安時代の法令集「類聚三代格」には「空海法師をして東大寺において国家のために潅頂道場を建立し、夏中及び三長斎月(正月・...
明年は宗祖ご誕生千二百五十年を迎える。ご誕生所善通寺では数年前より関東別院建立・仙遊寺改修・中門改修等で誕生の年を迎える準備を行っており、明春は出開帳や記念特別展も開催し、自動車祈祷殿建立等を進めている。 各派の事業も進捗を見せている。高野宗では弘法大師入定信仰と高野山浄土信仰を唱導しながら全国を行脚した高野聖の具体的布教方法である「八万四千宝塔勧進」を現代的に復活させ、奥之院への「令和の宝塔」...
宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者の被害者救援に取り組んできた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は十月十一日、文部科学大臣、法務大臣、検事総長に宗教法人法による統一協会の解散命令を裁判所に請求するよう申し大れを行なったが、十七日岸田首相は実態を解明するため宗教法人法の「質問権」を初めて使い、調査を行う方針を表明した。 宗教法人法第八十一条の「解散命令」には「法令に違反して、著しく...
「比叡山宗教サミット三十五周年記念・世界宗教者平和の祈りの集い」が八月四日、「気候変動と宗教者の責務」をテーマに開催、採択された「比叡山メッセージ二〇二二」では、ロシアに対して、ウクライナからの即時撤退を強く求めると共に、「戦争は人間による最大の環境破壊の行動であることを心に刻むべきである」と訴え、比叡山上から世界に向けて発信した。 戦争も環境破壊もいのちを損なう行為である。人間だけでなく全ての...
ロシアのウクライナ侵攻から約六か月、ウクライナの肥沃な国土を焦土と化す侵略戦争が続いている。穀物の輸出が阻止され、世界の食料危機が現実となっている。グローバル化した世界の脅威は、国民を巻き込む戦争である。 本、八月十五日、七十七年目の終戦記念日を迎えた。この凄惨な敗戦で失われた幾百万の尊い命と引き換えに、わが国は、戦争放棄と非核三原則からなる平和国家となった。今日は戦争への、深い反省と平和の維持...
安倍元首相が演説中に銃撃され死亡した。当初「民主主義に挑戦する凶行」と非難する声が異口同音に上げられていたが、宗教者の立場からこの事件の衝撃を受け止める時、狂信的な信仰による献金で破産した母親と、それによって被った容疑者の悲惨な家庭生育環境(宗教被害)に戦慄せざるを得ない。 容疑者の母は宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者であることが明らかになった。旧統一教会は信者の家庭を壊すほど...
宗祖弘法大師御生誕千二百五十年、真言宗立教開宗千二百年の大法会が愈々来年に迫ってきた。今、この時に何を祈るべきか。 世界のコロナ禍の終息はいつになるのか。ロシア軍による隣国ウクライナへの軍事侵攻は、力による現状変更への野心を持つ為政者に独善的な思想的根拠を与えはしないか。地球温暖化は加速度的に進んでいる。人類が前世紀に克服したかに思われた疫病の世界的蔓延と世界戦争、かつてない規模の自然環境破壊と...
人口減少や限界集落の増加、また人々の生活様式の変化により、従来の伝統的な宗教行事のみでの寺院の護持は困難になってきていたが、この二年間に亘るコロナ禍がそれを更に加速させている。 寺院運営基盤確保の一助として、これまでにも密教や仏教の理念の下、またその実践の場としての社会福祉事業を行なってきた寺院も多いが、今ではこれまで以上に新しい形での運営体制や新たな活動を行うことで、寺院運営を支えることが必要...
ロシアによるウクライナへの武力侵攻以降、日本仏教各宗派でも非難声明を出し、平和への祈りと共に救援募金等の人道支援を行っている。その背景に釈尊の不殺生戒や宗祖の曼荼羅思想が据えられている。今、それらを結集して、平和を護るための戦争否定の教学を打ち立てるべきではないか。 ロシアによる武力侵攻により、危機感を持った北欧ニカ国がNATO加盟を表明。我が国周辺でも中国や北朝鮮の脅威が以前にも増して叫ばれ、...