御誕生所善通寺をはじめ、本宗各派で弘法大師御誕生千二百五十年記念法要が開白を迎えた。それとほぼ時を同じくして主要七ヵ国首脳会議(G7サミット)が史上初めて被爆地・広島で開催された。サミットの最大の目的は、国際協調による健全な人類の幸福促進であろう。真言末徒として、国際政治がどのように「蒼生の福を増す」共通理解に至るのか、注目した。 善通寺ではまさに大師御誕生の誕生院御影堂で、天竺の聖僧が玉寄御前...
深刻な少子化を受けて岸田首相が本年冒頭「こども・子育て政策」を「最重要政策」として子ども関連予算を倍増し「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明した。出生串の向上に向けて児童手当の拡充など様々な施策に取組むという。今月には「こども家庭庁」が発足し「こども基本法」も施行された。全てのこどもや若者が将来にわたって、幸せな生活ができる社会を実現するという目標は、宗祖の済世利人の教えに照らして重要であると思...
高野山真言宗では財務調査を実施しているが、その目的は宗費負担の公平を期するためで、最終的には各寺院別の負担指数による新宗費が決定する。 この指数制による宗費負担は宗派財政の柱の一つとして高野宗に限らず多くの宗派で取り入れられており、本山の周年記念事業の際には各寺院の指数に応じた特別賦課金が課せられてきた。 今次の同宗の春季宗会では一指数の全国平均収入額が発表され、これを基準として全国各支所の収...
過日、昭和十四年に設立され、既に解散している福岡市内の高野山大師教会支部から数十点の戦時資料が発見された。金属類供出のために福岡県に提出した「㊙寺院教会金属類保有状況報告書」をはじめ、出征兵士の慰問活動など、どれも戦時下の寺院に課せられた重い歴史を伝える貴重な記録である。 戦時資料を丹念に読み込んでいると、行間から平和を切望する声が漏れ聞こえてくるような気持ちになることがしばしばある。表面的には...
国家仏教の中心地であった奈良・東大寺にいち早く真言密教を導入するために開壇した真言院潅頂道場、世の平和を切望する嵯峨天皇の願いを受けて下賜された京都・東寺。宗祖の四十九歳から五十歳という最も充実した時期に平城京と平安京に構えた真言弘通の二大拠点は、鎮護国家の祈りの構想を考える上で極めて重要である。奈良と京都での二つの記念法会を通じ感じた。 昨年十一月、高野宗青年教師会は華厳宗大本山東大寺で「弘法...
京都・清水寺で発表される「今年の漢字」。令和四年を象徴する一字に「戦」が選ばれた。多くの人がロシアのウクライナへの軍事侵攻を憂い応募したことは間違いない。戦争を身近に感じた一年だったことに不安を覚えた。 令和五年は宗祖御誕生千二百五十年・真言宗立教開宗千二百年の両勝縁を迎える。宗祖の幼少時の呼び名である「貴物(とうともの)」は真魚少年が単に優れていたからというだけの意味ではなく、後に密教の救いを...
高野山真言宗青年教師会では、去る十一月三十日に「弘法大師潅頂開壇千二百年記念事業~東大寺と密教~」を奈良華厳宗大本山東大寺で執行した。 弘法大師は帰朝後、弘仁十三年(八二二)に、東大寺内に潅頂道場(真言院)を建立、当時国家仏教の中心地であった東大寺にいち早く密教を導入されており、平安時代の法令集「類聚三代格」には「空海法師をして東大寺において国家のために潅頂道場を建立し、夏中及び三長斎月(正月・...
明年は宗祖ご誕生千二百五十年を迎える。ご誕生所善通寺では数年前より関東別院建立・仙遊寺改修・中門改修等で誕生の年を迎える準備を行っており、明春は出開帳や記念特別展も開催し、自動車祈祷殿建立等を進めている。 各派の事業も進捗を見せている。高野宗では弘法大師入定信仰と高野山浄土信仰を唱導しながら全国を行脚した高野聖の具体的布教方法である「八万四千宝塔勧進」を現代的に復活させ、奥之院への「令和の宝塔」...
宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元信者の被害者救援に取り組んできた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は十月十一日、文部科学大臣、法務大臣、検事総長に宗教法人法による統一協会の解散命令を裁判所に請求するよう申し大れを行なったが、十七日岸田首相は実態を解明するため宗教法人法の「質問権」を初めて使い、調査を行う方針を表明した。 宗教法人法第八十一条の「解散命令」には「法令に違反して、著しく...
「比叡山宗教サミット三十五周年記念・世界宗教者平和の祈りの集い」が八月四日、「気候変動と宗教者の責務」をテーマに開催、採択された「比叡山メッセージ二〇二二」では、ロシアに対して、ウクライナからの即時撤退を強く求めると共に、「戦争は人間による最大の環境破壊の行動であることを心に刻むべきである」と訴え、比叡山上から世界に向けて発信した。 戦争も環境破壊もいのちを損なう行為である。人間だけでなく全ての...