寺院運営に更なる自覚を

投稿日:2022年06月15日

人口減少や限界集落の増加、また人々の生活様式の変化により、従来の伝統的な宗教行事のみでの寺院の護持は困難になってきていたが、この二年間に亘るコロナ禍がそれを更に加速させている。
寺院運営基盤確保の一助として、これまでにも密教や仏教の理念の下、またその実践の場としての社会福祉事業を行なってきた寺院も多いが、今ではこれまで以上に新しい形での運営体制や新たな活動を行うことで、寺院運営を支えることが必要とされる時代となってきているのではないだろうか。
檀家はなく信徒の浄財と、主に地域住民の護持金によって運営されている、ある寺院では、運営に関して重要な課題がある際には、住民総会を開催するなど、地域住民との情報の共有を行い、寺院の方向性を決定している。
一方で残念なことだが、昨年春に判決を迎えた本宗派二ヶ寺が関与した「開運商法」では、開運商品を購入した消費者の「効果がない」との苦情に対して、業者が「悪霊がついている」などと不安を煽り、僧侶が所属する伝統教団の看板を使って祈祷を行い、不当な利益を得るといった悪質な方法が使われた。伝統寺院の祈りの信頼が悪用されたケースであった。
ある本宗寺院が運営する霊園では、売却の案内状が宗派は問わず発送されたが、当該寺院の代表役員・住職は既に遷化しており、後継者は決まっていない。それにも関わらず、委託業者が売却しようとする事例も発生した。
改めて、法燈を護持するために、法的なリスクや経済的なリスクを回避し、責任役員や総代、寺族とも情報を共有し、支所や本山にも相談しながら、更なる自覚を持っての寺院運営が求められている。