蒼生の福を奪う戦争を許すな

投稿日:2022年03月15日

ロシア軍によるウクライナへの武力侵攻が去る二月二十四日に開始された。攻撃は激化し多くの民間人が犠牲となり、更に多数の国民が避難を余儀なくされている。その危機の中で、全日本仏教会や本宗各派も武力侵攻に抗議する声明を出し、檀信徒や広く社会に平和の祈りを通じての強い連帯を求めた。
弘法大師が帰朝前に師恵果和尚から授かった言葉である「蒼生の福を増せ」は、宗祖のご生涯を貫き「全てのいのちを幸せにする」活動に精進された。
真言宗徒として戦争に反対するのは、「蒼生の福を増せ」という願いが暴力によって揉嘱され、奪われているからである。さらに許せないのは、唯一の被爆国である我々にとって、ロシアのプーチン大統領が核兵器という凶器の使用を散らつかせながら、ウクライナへの侵略を続けていることである。
第二次世界大戦勃発から約八十年を経て、その悲惨な戦争の体験と記憶を受け継ぐために、非戦と平和の護持を願う祈りは世界中に広がりを見せ、各宗教、各宗派を超えての祈りの集いも世堺各地で開催されてきた。一方で、軍備の拡張は続き、世界中で紛争は絶えない。そして今、第三次世界大戦勃発の危機を迎えようとしている。絶対に戦争の時代を再来させてはならない。
本宗では長い歴史の中で、戦争、災害、新型コロナウイルスに代表される疫病など、度重なる国難に際して、懸命な祈り(修法)が捧げられてきた。
今、ウクライナ国民と共に戦争に反対し、平和を求めるロシア国民に対しても連帯の気持ちを表し、プーチン大統領を始めロシアの戦争指導者に対し「蒼生の福を奪う戦争を許す事はできない」という事を発信し、祈りは侵攻を止めるという強い意志をもって、平和を祈り続けることこそが重要である。