去る二月四日、世界平和統一連合会(旧統一教会)に対して、東京高裁は、教団に解散を命じた、昨年三月の東京地裁の決定を支持した。苦悩する人々の不安に付け込み高額献金という収奪を続け、多くの家庭を破壊してきた悪行に法の裁きが下された。しかし同時に、宗教全般に対して社会からの忌避感も生じてしまったのではないか。本宗をはじめ宗教界には、このカルト教団の解散を命じた判決に合わせて、正しい信仰の発信が求められる。
八年後には宗祖弘法大師御入定千二百年御遠忌を迎える。弘法大師は高野山で永遠の禅定に入りながら、今も全てのいのちの救済を祈り続けているという御入定信仰は、千年以上にわたって人々に絶対的な安心を与えてきた。この普遍の真理に基づく信仰を、八年後に向けどう展開すべきか。
先般開かれた高野宗第百八十次春季宗会では、犯罪に利用される恐れのある管理者不在の不活動法人や法人格の不正売買への対策などの質疑が交わされ、公益法人である宗教法人格を適正に管理する責任が共有された。宗教法人を騎る犯罪の予防と撲滅は、宗教への社会的信頼を確保する第一歩である。
さらに頻発する自然災害からの被災寺院の復興についても具体的な支援策が提案されるなど、地域共同体の中心である寺院の重要性についても再確認した。各寺院は正しい信仰を伝えるための拠点であり、それぞれの豊かな歴史に応じた多彩な布教法を持っている。被災寺院支援とはこうした各寺院の可能性を現代的に展開していく信仰活性化の中でなされるべきものであろう。
相互扶助による寺院振興策と適切な宗教法人としての運営を通して、広く社会に、弘法大師の済世利人の教えを実践することが求められている。