寺庭婦人呼称廃止が開く宗団の未来

投稿日:2025年11月15日

智山派では、今次第百四十一次定期教区代表会に於いて、「寺庭婦人規程」を廃止して「寺族規程」を制定した。今回の改正の大きなポイントは寺庭婦人の呼称を廃止し、寺族に一本化した点で、宗法や宗派規程にあった「寺族及び寺庭婦人」を「寺族」に改正し、褒賞規程の「寺庭婦人護持功労章」も「寺族護持功労章」と変更し、慶弔規程に於いても寺庭婦人ばかりでなく女性住職の配偶者を含めた寺族や寺院、教会の寺族代表者にも配慮する改正となった。住職は男性でその配偶者は女性であるという前提の条文は、女性住職と男性配偶者の増加で現状に合わなくなってきたからである。
今回の改正に至る過程では、智山伝法院に於いてジェンダーに関する諸問題を研究、議論を重ね、研究誌やシンポジウム等でその成果を宗内外に発信してきた。それらを通して宗団を構成する住職や寺族に性別の固定観念を無くす方向性が固まった。
今まで、三宝に帰依し、寺に生きる責任の重さを白覚し、寺庭婦人が担ってきた役割は、今後も寺院活性化や宗団への参画意識高揚のために重要であることは論を侯たない。しかし、その責務や権利を女性に限定する呼称は、時代にそぐわなくなってきたのである。
宗祖弘法大師から受け継いだ真言密教の不変の真理を、それぞれの時代の社会に伝えていくために宗団組織があり、その組織の形は時代に応じて柔軟に変えていく必要がある。
今回、寺庭婦人の呼称を廃止し、性別を問わない「寺族」に一本化したことが、次の時代の宗団や寺院の新たな活性化に繋がることを期待したい。