宗派を超えて国内外の宗教者か、世界平和のために真摯な祈りを捧げ、世界平和を希求することを目的に、昭和六十二年に始まった比叡山宗教サミットは、本年で三十五周年を迎えた。伝統仏教教団を含む諸宗教、諸宗派からなる実行委員会(実行委員長・阿部昌宏天台宗宗務総長)が組織され、去る八月四日、京都市左京区の国立京都国際会館と滋賀県大津市の比叡山上で、テーマ「気候変動と宗教者の責務」のもと、三十五周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」が開催され、国内外から宗教者等約八百名が参加した。
「比叡山メッセージ 二〇二二」(要旨)
生きていくことには「自他共に」のみならず「それを取り巻く環境と共に」円滑に生きていくという倫理的な使命があることに気がつく。それは取りも直さず神仏の叡智に生きることでもある。そこでわれわれ宗教者は改めて多くの人々と共に、「よりよく生きるとは何か」について考え、従来の経済成長型のライフスタイルから、環境重視型(共生型) への生き方のほうが、より人間らしい生き方であるという意識の変革に努めていくべきであろう。その意味で宗教者の果たすべき役割は大きく、その責務は大変重いものがあると自覚するものである。今回の「世界宗教者平和の祈りの集い」の半年前より始まったロシアのウクライナ侵攻に対して、断固たる抗議をする。東西の冷戦という核の脅威の極限を味わった人類は、その悲惨な結末を回避して共存の道を歩む方向に舵を切ったはずであった。それにもかかわらず、再び核の使用をちらつかせてまで政治的野心を遂げようとする大国が現われたことに、国際社会は驚愕させられた。ロシアに対して、ウクライナからの即時撤退を強く求めるものである。さらに戦争は人間による最大の環境破壊の行動であることを心に刻むべきである。
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