新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。変異した「デルタ株」の感染力は桁違いの強さとされ、国内の感染者の九割以上を占めるとされている。
新規感染者や重症者が連日過去最多を更新し、医療逼迫(崩壊)や自宅療養者の急増という非常事態が繰り返し報道されても、人々がコロナ禍に慣れていく速度を大幅に緩めるには至っていないように思える。繰り返された緊急事態宣言の効果も薄れ、ワクチン接種を巡る混乱もそれに拍車をかけている。
そんな折、ある保育園で園児一人の感染が判明した。本宗寺院住職の孫も通園していたが、「孫に陽性反応が出た場合の対応として、寺内感染拡大防止と収束への対策(保健所への連絡、寺内閉鎖、住職、副住職、寺族、寺内職員のPCR検査、法務休止の公知、役員への連絡等)に追われた」という。
幸い孫は陰性であったが、住職は「誰もが常に感染する危険性を抱えながら、日々生きていることを痛感した」と。その寺院では感染対策に神経をとがらせ、万全を期してきた。だが住職は「それでも感染リスクはゼロにはならない。コロナはどこからでも忍び寄ってくる」と強調。「孫の検査結果を待っている間の極度の不安、孫が陽性であった場合、家族である私達も濃厚接触者となり、もし私達の誰かが陽性であれば寺の宗教活動が止まってしまうことへの怖れ…。これは筆舌に尽くし難い。経験したこの苦しみを危機感に変え、この意識を感染防止対策の根幹にしたい」と話した。