御修法の祈りを被災地救援に

投稿日:2024年01月25日

年が明けたばかりの元日夕、北陸能登の地を激しい揺れが襲った。住居をはじめ暮らしを支えるインフラが瞬時に壊滅し、多くの尊い命が失われた。水も電気もない苛酷な状況下で懸命の救援活動が行われ、その努力は今も続けられている。本宗でも被災寺院や檀信徒、住民への支援活動が始まった。
本宗では年頭、東寺潅頂院を道場に、最高厳儀である後七日御修法を営んでいる。国土安穏や世界平和など、全ての命の平穏を願う令和六年の御修法は、大地震発生後の八日に開白し十四日に結願した。今年の二十一カ座の熱祷は、犠牲者の追悼と被災地の復興を願う想いが込められていたと拝察する。
複数の大陸プレートがひしめき合う上にあり、数多の断層が走る日本列島は、予知できない地震災害へのリスクに常に直面している。
宗祖弘法大師が御修法を年頭に営むよう承和二年(八三五)に奏上されたのは、この国を取り巻く災害の危険性を大法によって鎮めるだけでなく、どこかの地が被災した時には、その祈りを以て救援活動を行う覚悟を真言宗徒全員が年頭に胸に刻むためではないか。最も平穏であるべき元日の発災と、その直後の御修法開白を思い、そう感じた。
後七日御修法の祈りとは、鎮護国家の祈りである。この祈りをなすにあたり、宗祖はご生涯をかけて済世利人の実践となる具体的な社会活動を続けられた。祈りとは何らかの行動を呼び起こすものであり、仏心による行動は祈りへと還っていく。御修法成満に被災地救援を誓い、真言宗徒として心を一つにしながら各自ができる活動を続けることが、我々の喫緊の使命である。