令和五年を送る

投稿日:2023年12月15日

宗祖御誕生・立教開宗法会から先へ
本年、弘法大師御誕生千二百五十年を迎え、各山、各末寺で慶讃の大法会が営まれ、総本山教王護国寺(東寺)に於いては、真言宗立教開宗千二百年慶讃大法会が営まれた。
御誕生法会では稚児大師尊像が祀られ、産沫が行われ、宗祖の御誕生を祝した。その意味は幼少の大師に産沫することで、生まれてきた全ての子供達が「仏の子である」ことを認識し健やかな成長を願ってのことである。
また真言宗立教開宗千二百年慶讃大法会では、法会奉修の根本に「鎮護国家・広度衆生」を置き、毎座ごとに、明確な方向性を出して法会を営んだ。
両大法会を終えて、御誕生法会では、稚児大師を通じて幼きいのちの尊さを教えられ、また立教開宗法会では、曼荼羅に生きるいのち、それは人間ばかりではなく、宇宙に遍満する全てのいのちを尊ぶことを教えられた。
今、世界に目を向ければ、ロシア軍のウクライナ侵攻は続き、イスラエルとガザを実効支配するハマスとの軍事衝突の中で、多くの無事の人々のいのちが奪われ、傷ついている。
戦火のガザに残り、日本人医師として、医療活動を続ける「国境なき医師団日本」の会長を務める中嶋優子医師が、テレビで紹介されていた。紛争地の最前線で「失われていくいのちを何とか救おう」とする行動は尊く、宗祖の教えを、身をもって実践している菩薩の姿であると言っても過言ではない。
二大法会の成満から先を見据え、次の五十年に向けて何ができるのか。両大法会で祈られた全てのいのちが尊ばれる平和な世界を目指して、実践することを誓い、令和五年度を送りたい。

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