牛島貞満氏の平和への想いに学ぶ

投稿日:2023年08月05日

高野山真言宗社会人権局主催の「第三回平和研修会」が去る七月二十四、二十五の両日、大阪府茨木市の総持寺で開催された。
今回の講師は、沖縄守備隊第三十二軍の司令官牛島満中将の孫に当る牛島貞満氏であった。戦後生まれで、小学校の教員だった氏は四十歳まで沖縄に行けなかったが、戦争と平和・祖父に向き合うために通うようになり、証言や戦時資料を集めるようになった。現在は、首里城地下に置かれ、沖縄戦を指令した第三十二司令部壕の保存・公開に向けて尽力している。祖父を最高責任者とするこの司令部が下した「南部撤退」命令が、結果、大勢の住民を巻き込んだ事実の重さから戦争の実態を語った。
牛島氏は「司令部の壕が埋もれたままで良いのか。沖縄戦の無残な戦争を掘り起こし、後世に伝える責任は、私も含む戦後世代の私たちにある。記録・証言に基づく記憶の継承=歴史認識こそ、平和への創造力である」と語り、戦争を自分の事として考える真摯な姿勢に深く感銘した。
牛島氏は『第三十二軍司令部』壕という戦時遺跡から沖縄戦の実態を後世に伝えようとしている。本誌でも以前取り上げたが、旧高野山大師教会支部から貴重な戦時資料が多数発見された。戦時下の詠歌等、貴重な資料ばかりである。そこから戦争の事実をどう読み取るのか。元来戦争とは無縁である詠歌の内容が、「武運長久和讃」などとして戦時体制の中に組み入れられていく事実である。こうした身近な戦時資料を多く集め、戦争の悲惨さと平和について考えていくことが重要ではないか。その事実を考察して、我々の共通認識とすることが、平和に繋がっていくのではないか。

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