コロナ禍で迎えた一年を新たな祈りの年に

投稿日:2021年01月01日

令和三年の新春を迎えた。一月十七日には阪神淡路大震災から二十六年、三月十一日には東日本大震災から十年を迎える。阪神淡路大震災はボランティア元年とも言われ、東日本両震災では「絆」が日本国中を一つに結ぶ言葉になった。日本を毎年のように大災害が襲うようになり、災害列島とも呼ばれる緊張感の中で、いつ誰もが被災者となり得るという視点を通じて災害対策がとられるようになった。宗内に於いても、「共に助け合い、支え合う」精神が高まり、災害時には積極的にボランティア活動を行い、寺院も行政と連携して避難所としての場を提供する態勢が整えられ、地域を物心共に支える拠点としての役割を果たすようになってきた。そこにコロナ禍が来た。
コロナ禍の中で、人々が一つの安全な拠点に密集することが制限、あるいは不可能になった。昨年の熊本豪雨災害では、新型コロナウイルス感染予防のため、県外からのボランティアを受け入れないという行政の方針を受け、青年教師は、限られた条件の中で献身的な救援活動を行った。コロナ禍の中、国内のどこかで大規模な災害が発生した場合、行政指定の避難所や寺院に避難し、助け合うということや、大勢のボランティアによる活動が難しくなった。感染拡大という複合型災害が発生する危険性が高くなるからである。
それでも人が集い、助け合うという大前提は揺るがない。共助、共同の行動、そして人と人との絆が絶たれてしまい、孤立化するリスクが高まる中にあっても、それを再び結び付ける祈りの力を信じているからである。年頭に当り、読者諸賢と共にそのことを共有したい。新年号のメインテーマは「コロナ共存時代に生きる智恵」である。頂いた玉稿の中に明日への光明がある。