2026令和八年の御修法が一月八日より十四日まで、東寺濯頂院で厳修される。
弘法大師が鎮護国家の修法を朝廷に願い出た「国家の奉為に修法せんと請う表」に「七難を催滅し、四時を調和し、国を護り、家を護り、己を安んじ、他を安んず」とある。この宗祖の上表文を改めて現代の文脈で読み直す時、地球規模で希求されている世界平和の要素を全て備えていることに気づく。
災難や災害がなく、様々な人種・民族が暮らす国々とそれぞれの国の家々が平穏に護られ、各人が自分を大切にするとともに他者の安穏も尊重する。
弘法大師が帰朝前に師恵果和尚から授かった「蒼生の福を増せ」という言葉、「全ての生きとし生けるものの幸福を願い、いのちの尊厳の為に生きよ」を具現化した御修法の祈りは、日本国内のみならず、気候変動による巨大自然災害や戦争に翻弄される世界にこそ広めねばならない普遍的な願いである。
昨年は第二次世界大戦終結・原子爆弾投下から八十年を迎えて、その悲惨な体験と記憶を受け継ぐ行事や法会が広く国内で行われ、改めて「いのち」の尊厳と平和の大切さを世界に発信する重要性を深く学んだ一年であった。
本宗では長い歴史の中で、戦争、災害、疫病等に対して、多様な修法を通して懸命に祈りを捧げてきた。その頂点に位置づけられる御修法は、同じ地球に生きる全てのいのちの為に熱祷を捧げながら、両界曼荼羅思想で調和を説いた宗祖の祈りの原点に回帰する最高厳儀であると言えるのではないか。
本年の大阿は、真言宗中興の祖と仰がれる興教大師覚鏝上人が開いた総本山根末寺座主の中村元信貌下である。覚鏝上人が感得された極楽浄土即密厳浄土のような平和な世界の到来を切に願い、令和八年の劈頭の社説としたい。