現代に於ける万民豊楽の祈りとは

投稿日:2025年02月25日

今年は第二次世界大戦の終結八十年、阪神淡路大震災から三十年、オウム真理教の地下鉄サリン事件から三十年、日航機墜落事故から四十年を迎える。全てが人類史上に繰返してはならない教訓を刻み、今も警鐘を鳴らしている。
核という人類抹殺兵器が用いられた世界戦争、高度に発達した現代の大都市が初めて直面した大災害、科学技術の粋を集めたジャンボ旅客機の制御不能による未曾有の大事故、若者たちを狂信させたカルト宗教団体が行き着いた無差別テロ。これらは、著しく進歩した文明が作り出した現代の裏にある恐ろしさを象徴する、決して風化させてはならない「いのち」の事象である。
世界各地で戦火は止まず、大規模自然災害は国内外で頻発、航空機など手段を問わず大量輸送機関での大惨事も世界で起こっている。カルト宗教の芽は、警戒を怠れば、すぐに閉塞した社会の随所で密かに育ち続けてしまう。
我々はこうした現実に対して、戦争、災害、事故、狂信がもたらした、あまりにも多くの国内外の無事の人々の深い悲しみと苦しみに思いを致し、平和、安全・安心、正しい信仰を明確に掲げて、祈りの行動を続けなければならない。これこそが現代に於ける鎮護国家・万民豊楽の祈りではないか。
現在、東京国立博物館で開催中の「大覚寺展」には、大覚寺中興の祖である後宇多法皇が遺された至宝が展示されている。法皇は鎌倉後期に細分化した法流を弘法大師時代に回帰して統一する「法流の一揆」を目指した。このご精神は、派を超えて現代の万民豊楽を祈ることで実現されるのではないか。
春の宗会シーズンに入った今、議場でこうした議論が展開され、宗会議員が先頭となって、宗団に関わる全ての人々に共有されることを期待したい。