今年は災害や選挙等情報の双方向で受発信するSNSの力を思い知った一年であった。情報化時代の変遷はここ数年目まぐるしいものがある。かつて私達が情報を得る手段は、新聞、テレビ、ラジオ等であり、一方的な情報を受動的に受け入れるだけであった。しかし急速なIT技術の進歩により、誰でもが容易に情報を発信できる時代へと変化してきた。
検索AIは、インターネット上での膨大な情報に素早くアクセスできる便利なツールであるが、誤情報の拡散や偏った情報表示によって、多くの情報から真実の情報を見極めるのが困難になってきたのも事実である。
特に悪意ある情報、所謂フェイクニュースであり、災害時などのそれは人命にも関わることであり、最近世間を騒がせている闇バイトの勧誘などは、明らかな犯罪である。表現の自由は当然保障されるべきであるが、無秩序に氾濫する情報の中で質の高い情報を得るために必要なことは何か。
多くの検索AIはページの人気度やリンクの数を基に検索結果を評価しているが、悪意ある情報提供者がリンク操作などにより、信頼性の低い情報を上位に表示させることもあり得る。情報の信頼性を判断するスキルを身につけることが不可欠である。
得られた様々な情報から自分自身はどう考えるのか。真実を見極める姿勢が大切である。「犀の角のようにただ独り歩め」。これは有名な仏陀の言葉であるが、群れに頼らず生きていく犀に例えて、自らの努力と判断で歩むことが、仏智をもって真実を把握することに通じることを教えている。その言葉を胸に秘めてネット社会を生きたい。