世界宗教者平和会議(WCRP)をはじめ、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の四団体の共催で去る七月九、十の両日、「平和のためのAI(人工知能)倫理」と題したシンポジウムが広島国際会議場で開催された。
日本が世界十二力国を招き、オンラインを含め約二百名の宗教者やAIに関する研究者、企業家等が参加し、急速に進むAI技術の恩恵と脅威について議論。AIと人類の平和を共存させるための智慧を超宗教で共有した。
AIはスマホや家電にも搭載されるなど、もはやAIなしの日常生活は成り立たないレベルにまで達している。この最先端技術の活用は、人類がかつて経験したことがない程の利便性に満ちた生活を実現すると期待されている。
しかし、AIの軍事利用もすでに実用化され、様々な兵器に組み込まれている。自ら殺戮を学び深めていく人工知能を備えた究極の兵器の開発競争が野放図に進めば世界に再び広がりつつある核軍備論と相侯って、取り返しのつかない危機的事態をそう遠くない未来に引き起こすことになるだろう。
実用化された最新テクノロジーで、軍事転用されなかった技術はない。人類の発展の歴史と兵器の殺傷力の向上は常に比例する。しかしAIが登場した今、現状以上のAIの軍事利用が進展すれば世界に破滅しかもたらさないことは誰の目にも明らかである。問われているのはAIを使う人の心である。
今回の会議の意義は、限りなく大きい。いのちの尊さを教える世界の宗教者がグローバルに繋がり、世界を席巻するAI技術のこれからを平和の観点から厳しく監視することを共通テーマに被爆地広島で団結した。一人でも多くの真言宗徒に、世界の平和を作り出すネットワークに参加してほしい。