能登半島地震では、全宗派の寺院が被災し、高野宗では能登支所下全寺院の三十八ヶ寺が被災しており、災害対策本部を設置し支援活動を続けている。
去る三月十一日、平成二十三年の東日本大震災から十三年目を迎えたが、その間に問われたのは、一つには被災者の苦しみや痛み、悲しみの中にある人々にどうすれば寄り添えるのか。同悲の念をもって、それぞれの場で祈り行動するという信仰の問題であり、もう一つは被災寺院の復興であった。
能登の地がもともと過疎地域で、人口減少の地でもあり、震災を契機として、被災地に残って生活再建と故郷の復興に取り組み続ける地域住民とやむなく故郷の地を離れざるを得ない地域住民のために、コミュニティの中心であった寺院を復興し、人々の心に寄り添う支援活動を中、長期的に展開することこそが喫緊な課題ではないだろうか。
今後の支援について、今川総長が、先ず被災寺院の復興に取り組みたいとの方向性が出された。義援金も復興のために先ず役立て、次に地域復興のために役立てたいとの考えを示した。
災害対策本部でも、職員を現地に派遣し、被災寺院や被災地の状況を調査確認しながら、支援活動に臨みたいとしている。全国の宗務支所や青年教師会に対して、ボランティア活動の登録要請を行っている。
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震等で積み上げられてきた経験が今後の現地支援に役立てられることを期待すると共に、高野宗に限らず、今後も各派が復興のために協力、支援することこそが、災害列島ともいえる日本に生きる本宗宗徒としての使命ではないだろうか。