ご誕生法会の事業から信仰の原点へ

投稿日:2022年11月25日

明年は宗祖ご誕生千二百五十年を迎える。ご誕生所善通寺では数年前より関東別院建立・仙遊寺改修・中門改修等で誕生の年を迎える準備を行っており、明春は出開帳や記念特別展も開催し、自動車祈祷殿建立等を進めている。
各派の事業も進捗を見せている。高野宗では弘法大師入定信仰と高野山浄土信仰を唱導しながら全国を行脚した高野聖の具体的布教方法である「八万四千宝塔勧進」を現代的に復活させ、奥之院への「令和の宝塔」奉納を募る運動を展開。智山派では総本山智積院境内に新宝物館を建立し来春に開館する。智山派が誇る聖教類を収蔵し展示することで、学山智山が紡いできた修学の伝統が可視化されることになり、総本山への信仰的求心力を高めるものとなるだろう。豊山派では全支所の総本山登嶺を開始。古代からの観音信仰の伝統と、戦国期から近世に大きく開花した長谷寺の弘法大師信仰を檀信徒に体験してもらうための伽藍整備を着々と進めている。大覚寺派では献華法会や末寺団参、記念写経奉納を推進。御室派では、宗議、支所長、本山布教師の出仕や各支所担当で宗団を挙げてのご誕生法要を奉修。一方、立教開宗千二百年を迎える東寺では、来年の後七日御修法大阿を飛鷹長者が東寺長者として五十三年ぶりに勤める。立教開宗と東寺勅給、宮中での後七日御修法奉修を一連の歴史として考える勝縁となるのではないか。
記念事業の一部をランダムに挙げたが、各派の事業の多様さは宗祖が開かれた真言宗の多様な相を如実に表していることに気付かされる。そして各派特色のある取り組みが、ご誕生所・善通寺での各本山出仕の慶讃法要に収斂することになる。明年は宗祖ご誕生という信仰の原点に回帰する年にしたい。