本山事業への協力の在り方を考える

投稿日:2023年04月05日

高野山真言宗では財務調査を実施しているが、その目的は宗費負担の公平を期するためで、最終的には各寺院別の負担指数による新宗費が決定する。
この指数制による宗費負担は宗派財政の柱の一つとして高野宗に限らず多くの宗派で取り入れられており、本山の周年記念事業の際には各寺院の指数に応じた特別賦課金が課せられてきた。
今次の同宗の春季宗会では一指数の全国平均収入額が発表され、これを基準として全国各支所の収入平均額に著しい格差があることがわかった。現在のめまぐるしい経済変動の中、指数制度の課題と限界が明らかになった。末寺が宗派財政に協力するには、賦課に対丿為作一公平性が必要である。そこで、指数に応じた特別賦課金ではなく、信仰心の発露と宗派への参画意識を高めるような志納金へと移行していく必要があるのではないか。
高野宗では弘法大師御誕生こ一五〇年記念事業に関して、今川内局は前添田内局からの方針を継承し、志納による勧募を進めてきたが、中世以来全国を行脚し高野山浄土信仰を広めた高野聖の唱導の具体的な勧進活動であった五輪塔の奉納に倣い「令和の宝塔」の勧進活動を勧募活動に充てている。
また御室派では同じく宗祖誕生記念事業として、全教師を対象とした金堂大壇の修繕寄進に関して、今後の記念法要での勧募手法のあり方も視野に入れて、賦課金等の強制力を持たない寄付金での勧募を依頼している。
過疎化やコロナ禍の影響で、運営に厳しさを増す寺院も多い。賦課金と志納金の均衡を図り、記念事業を見据えた積立金の充実や宗教活動による新たな財源を模索する動きも出ている。宗派の適正な財務改革が求められている。