大覚寺派次期総長選僅差信任の重み

投稿日:2020年11月05日

大覚寺派の次期宗務総長を選定する臨時宗会が、去る十月二十二日開催された。同派の規則、宗制では、宗務総長候補者推薦委員会で三名を選定し、宗会に推薦し、候補者の辞退で、候補者が一人となったときは、信任投票を行い、過半数の信任票で候補者を宗務総長に選定されたものと定めている。
今回は伊勢現宗務総長他二名の候補者が推薦されたが、二名が辞退し、伊勢現総長のみ候補者となり、一期目の四年間の評価を問う信任投票となった。 結果は投票総数十一の内、信任六票、不信任四票。無効票一で、伊勢師が次期宗務総長に選定されたが、僅差で信任という大変厳しいものであった。
不信任票四、無効票一が意味することはなにか。六十年に一度の嵯峨天皇宸翰勅封般若心経千二百年戊戌開封法会や現今のコロナ禍の当局の対応を含み諸施策に対しての批判の意を込めたものであったと思われる。議会として反対意見を公に表明できたことは、大覚寺派宗会が民主的に機能している証であると共に、不信任投票を投じた議員諸師には相応の責任を伴うことになる。現在の宗務運営の在り方に反対票を投じた以上、現状を不信任票を投じた立場から改善していく提言を宗会を通じて行っていかねばならないからである。現内局に何を求めているのか、全末寺に見える議論をしてほしい。
この不信任票を退けた信任票六票の意味も重い。全末寺からの負託に、現内局がどう応えてきたのか、十分な説明が宗会の中で求められていくのではないか。この信・不信任の両極の立場が、宗会という公の場で真摯に向き合うとき、全末寺から信任される宗会となる。そうなることを切に望む。その意味で今選挙の一票差による信任は、よりよい宗政への第一歩と言える。