豪雨災害 コロナ禍での復興支援

投稿日:2020年07月25日

九州をはじめ各地に甚大な被害をもたらした今回の豪雨は、コロナ禍での初めての大規模災害となった。これまでのように全国各地から集うボランティアも、新型コロナウイルス感染防止の観点から被災地に向かうことができないでいる。ボランティアの受け入れが県内限定となる中、県外にいる支援者と被災地を繋ぐ働きが一層重要になっている。

熊本県内では球磨川流域で未曾有の大水害が発生し、人吉市の大覚寺派高野寺は伽藍全体が水没した。間一髪で避難した味岡戒孝住職は仲間と共にすぐに瓦礫や土砂の片付けに着手。寺を救援物資の受け入れ拠点にする活動を開始し、被災地の最新情報をSNSで順次発信し続けている。

高野山真言宗熊本支所では、赤星善生支所長をはじめ有志が福岡の災害備蓄拠点から救援物資を運び、人吉市内でボランティア活動を展開している。

一方、県内玉名市の真言律宗別格本山蓮華院誕生寺を母体とする「れんげ国際ボランティア会」では、四年前の熊本地震の支援活動の経験から地元のネットワークを駆使し、全国から寄せられた支援物資を適切な場所に届け、適切な支援を行っている。まさに県外の支援者と被災地を繋ぐ活動である。

コロナ禍の五ヶ月、仏教界は離れていても繋がる力の重要性に改めて気づき、それを祈りを中心に据えた様々な活動で実践してきた。コロナ禍での複合災害に直面している今、離れていても繋がる支援の実践が求められている。

「済世利人」「一隅を照らす」。それぞれの場所で被災地復興を願い、自身の立場でできる復興支援の取り組みは必ずあるはずである。まずは、被災地から日々発信される声に耳を傾けることから始めたい。