コロナ禍が問う宗派運営の三本柱

投稿日:2020年07月05日

コロナ禍の中、延期されていた各派の宗会が感染防止対策を徹底して招集されたり、やむをえず書面決議されたりしている。末寺の収入減が顕著になり、浄土真宗など他宗派ではいち早く宗費減額を表明、本宗でも高野宗では来年度宗費二割減の方針、東寺宗では末寺の現況アンケートを集計した上で宗費軽減を検討するとしている。このことは、コロナ禍による末寺の疲弊で通常の宗団運営が不可能になっていることを端的に示している。感染防止の観点からの仏事の簡略化などは、当面は続くと見なければならない。当然、末寺で組織される宗団も運営のあり方も変えていかねばならない。

コロナ禍は、宗団の次代を担う後継者育成の現場である修行道場の行学の課程にも大きく影響を及ぼしている。集団生活が基本の道場では、密接・密閉・密集になりやすく、ひと度感染が発生した場合、全員が濃厚接触者になってしまう危険性が極めて高い。通常の感染防止対策だけでなく、今年度のみの特例として短期課程にしたりするなどの対応もなされている修行道場もあるが、コロナ禍は修行のあり方も変容させる影響力を持っている。

そして檀信徒教化も、思うようにできない状況になった。同信の絆を深める本山行事、ブロック、支所下(教区下)の行事や団参も当面は自粛せざるを得ず、それが本山や支所等の財政を直撃している。寺院に集まることを基本とする教化を推進してきた方向性の転換が、しばらくは必要になるだろう。

宗派を成り立たせる三本柱である、宗団運営・後継者育成・檀信徒教化(布教)に対して、コロナ禍が突きつけた課題に我々はどう対応するのか。宗派の垣根を越えた情報交換と叡智の結集が求められている。