七回忌を祈りと覚悟の契機に

投稿日:2017年04月26日

来る三月十一日、未曾有の東日本大震災から丸六年を迎え、各地で七回忌の慰霊法要が営まれる。
死者、行方不明者が千名以上という尊い命が失われた岩手県釜石市では、新たな課題に直面している。復興住宅の建設で市内六エリア五十ヵ所にあった仮設住宅が集約され、今までに育まれてきた住民のコミュニティが壊されている。高野山真言宗の震災復興支援の最前基地であり、震災直後から現在まで宗内外を問わずボランティアを受け入れ、様々な活動を行ってきている釜石教会の教師森脇妙紀師は被災者の孤立化を懸念している。
一方、東京電力福島第一原発事故により、帰還困難区域となった福島県双葉郡大熊町の豊山派遍照寺(住職半谷隆信師)では、全檀家約六百戸の殆んどが仮設住宅、復興住宅、避難先に建てた新居で震災後の日々を送っている。半谷師は大熊町での寺院再建を断念し、檀信徒の利便性を考えて同郡広野町への移転と本堂再建、墓地造成を進めている。
しかし、大熊町の多くの墓地が放射性廃棄物を集積する中間貯蔵施設の敷地に含まれるかどうか明確になっていないという。亡き人が住み慣れた故郷に墓地を残したいという檀家も多い。故郷に帰れない中で、墓地を移転するか否か、重い決断を迫られ、苦悩する檀家も多い。
地震、大津波による被害と原発事故がもたらした苦しみは、六年の歳月を経た今も、次々と新たな課題を我々に投げかけてくる。大震災は終わっていない。七回忌は亡くなった全ての方を至心に供養すると共に、被災から懸命に立ち上がろうとする人々と共に歩ませてもらう覚悟を刻む契機にしたい。(平成29年3月5日号)